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労災と損益相殺

      2016/12/20

たとえば通勤中の交通事故の場合には,被害者は加害者に対する損害賠償請求権の他に,労働者災害補償保険法(「労災保険法」)に基づき保険給付を受領します。

通勤災害については,労災保険法21条が規定しています。

*第二十一条  第七条第一項第二号の通勤災害に関する保険給付は,次に掲げる保険給付とする。
 一  療養給付
 二  休業給付
 三  障害給付
 四  遺族給付
 五  葬祭給付
 六  傷病年金
 七  介護給付

被害者が上記保険給付を受領した場合,加害者に対する損害賠償請求権にどのように影響するのかという問題があります(損益相殺)。

この点について,労災保険法に基づく保険給付は,労災保険法12条の4が適用され,給付の価額の限度で被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権を国が代位取得することになるので,損益相殺の対象になるとされています(損害賠償から控除されます)。

*第十二条の四  政府は,保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において,保険給付をしたときは,その給付の価額の限度で,保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

一方,労災保険法12条の4の適用がない休業特別支給金,障害特別支給金等の特別支給金については損益相殺による損害額の控除は認められません(最高裁平成8年2月23日判決)。

以 上

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