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間接損害

   

被害者の死傷の結果,それにより損害を被った第三者が存在する場合,その第三者も損害賠償請求することができるかという問題です。

 

間接損害については,これまで企業損害を中心に論じられてきました。

1 固有損害

代表者,従業員が受傷により就労できなかったため,会社の売上げが減少したこと等による損害の請求が認められるかという問題です。

2 反射損害

代表者,従業員が受傷のために就労できなかった期間について,会社が役員報酬・給与を支払い,それを損害として請求できるかという問題です。

 

固有損害については有名な判例(最高裁第二小昭和43年11月15日判決)があります。

 

「X会社は法人とは名ばかりの,俗にいう個人会社であり,その実権は従前同様A個人に集中して,同人はX会社の機関としての代替性がなく,

経済的に同人とX会社とは一体をなす関係にあるものと認められるのであって,かかる原審認定の事実関係のもとにおいては,

原審が,Aに対する加害行為とAの受傷によるX会社の利益の損失との間に相当因果関係の存することを認め,

形式上間接の被害者たるX会社の本訴請求を認容しうべきとした判断は正当である」

 

反射損害については,本来被害者が損害賠償請求できるものを会社が肩代わりしてはらっており,その請求は認められます。

 

そして,以上述べたのとは別に以下の問題があります。

 

(直接被害者の近親者の損害)

Eg.子供が交通事故で死亡したことにより,母にPTSD等が発症し,損害賠償を請求した。

 

上記論点については,「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」2004年版において,松本利幸判事が解説されております。

上記解説の詳細は省略しますが,結論としては原則として近親者(上記事例では母親)の損害賠償請求は難しく,

固有の死亡慰謝料(民711条)として請求できるのみと結論されております。

この点については,東京地裁平成15年12月18日判決もほぼ同様の考え方にたつものと思われます。

以 上

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