交通事故ADR
2017/05/05
交通事故紛争処理において,裁判外紛争処理手続(ADR Alternative Dispute Resolution の略称です)を利用する方法があります。
ADRとは
ADRとは,裁判外紛争処理手続のことをいいます。一定の仲裁者を間に入れて交渉し,紛争を解決する手続のことです。
交通事故問題に関しては,いくつかのADRが用意されています。
小職が実際に用いたことがあるのは,
公益財団法人交通事故紛争処理センター(和解斡旋)
公益財団法人日弁連交通事故相談センター(示談斡旋)
その他にも,日本損害保険協会のそんぽADR,外国損害保険協会の保険オンブズマンなどがあります。
交通事故紛争処理センターは,多くの損害保険会社や共済と協定を結んでおり,ここでの審査結果(裁定)は協定を結んでいる損害保険会社を
拘束するとされております。被害者が裁定に同意した場合は、和解が成立することになります。
日弁連交通事故相談センターの場合,多くの共済と協定が結ばれており,審査委員会による審査がされた場合,共済側はそれを尊重しなければなりません。
いずれの機関も,まず示談の斡旋から開始されます。
ADRのメリット・デメリット
メリットとしてまず思い浮かぶのは早急な紛争解決が図れるということです。
また,ADRは仲裁者が存在するため,両当事者の意見等を詳細に確認してもらい,話合いを進めることができます。
話合いがつかなかった場合,既述の通り一定の決定がなされ,その判断について保険会社等は尊重しなければなりません。
デメリットとしては,訴訟における判決の額と比較して低額になる場合があります。
体験談
知人弁護士から「紛争処理解決センターは保険会社がもっともおそれるところ。訴訟よりも加害者に厳しい額が提示される」と聞いておりました。
しかし,実際に利用したところ,斡旋担当の弁護士は,保険会社の側を向いて手続きを進めているように感じました(通院慰謝料について
「センターでは赤い本基準の8割がいいところ」との発言がありました。)。
なお,ADR一般の特徴として,斡旋担当者次第で大きく結論が変わるような気がします(訴訟でも裁判官次第のところがありますが・・・)。
以 上