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人身傷害補償(損賠賠償請求権との関係)

   

  人身傷害補償とは,「被害者が自ら保険会社と契約した保険契約に基づき,加害者の過失の有無・割合に関わりなく

約款の基準に基づいて算出された保険金を受け取ることができる」保険です。

 

(特徴)

・過失の有無・程度が問題にならないため,被害者の過失が大きい場合に有用となります。

・保険金を支払った保険会社が加害者に代位求償します。搭乗者傷害・自損事故保険が支払われても

代位求償しないのと異なります。

 

(損害賠償請求権との関係)

  人身傷害補償は,約款で支払基準が明示されております。

そして,損害賠償の裁判基準と比較して,人身傷害補償基準は低く設定されております。

そのため,人身傷害補償による保険金を先に受領した場合,加害者からどれだけ回収できるかという問題が発生します。

  この点について学説がいくつかありますが,最高裁判例(平成24年2月20日)は訴訟基準差額説に立つことを

明らかにし,「(人身傷害補償に基づく)保険金の支払によって民法上認められるべき過失相殺前の損害額

(裁判基準損害額)を確保できるよう解釈すべき」と判断しています。

 

Eg. 損害額1億円(裁判基準)で加害者の過失7割

   この場合,加害者に請求できる金額は,本来は7000万円になります。

先に人身傷害補償から保険金5000万円を受領すると,最高裁の基準によれば,残りの損害額5000万円を加害者に

請求できます。

以 上

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