熊本県熊本市所在の法律事務所です。丁寧な業務を心掛けております。

バッヂ
熊本城
相続
交通事故
破産
Slider

逸失利益の計算(中間利息控除)

      2017/05/05

現在は,交通事故被害者の方には,保険会社から提示された示談金が適正であるかどうかを調べるため,自力でネットを見て,計算される方も多いと思います。

その計算で,障害になっているであろうと思われるのが逸失利益の算定における中間利息の控除ではないでしょうか?

逸失利益は,基本的には,1年あたりの基礎収入に,後遺障害によって労働能力を失ってしまう期間(労働能力喪失期間)を乗じて算定することになります。
しかし,

基礎収入×労働能力喪失期間×労働能力喪失率=逸失利益

と計算し,保険会社提示の示談金の適否を判断するのは誤りです。

その理由は,例えば,給与収入を得ている者は,勤務ごとに(毎月)給与が支払われることになりますが,損害賠償として逸失利益が支払われる場合は,
一括払いで受領することになります。

そうすると将来得られる収入を,一括で受領することになるため,たとえば,その金を銀行に預けると,将来利息を得ることになり,その結果却って被害者に利得をもたらすことになります。

将来生ずる収入を,一時金の形で得る場合,その現在価値を算定するには,実際に収入を得る時までの中間利息を控除しなければなりません。
そうした中間利息を控除するための計算を実施するのに必要な指数が,ライプニッツ係数です。

なお,以前は,ホフマン係数という指数も使われておりましたが,

交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(判例タイムズ1014号(2000年1月1日号)参照)において,「中間利息の控除方法については,特段の事情のない限り,年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。」と決定されました。

よって,例えば年収500万の人が,20年間労働能力を失う場合の逸失利益の計算方法は,

× 500万円×20年×労働能力喪失率
〇 500万円×12.4622(20年のライプニッツ係数)×労働能力喪失率

となります。

以 上

 -