被害者請求と弁護士費用
2017/05/05
「被害者が提訴前に自賠法第16条による被害者請求をしていれば,自賠責保険により保険金の支払いを受けることができたはずであり,
本訴における認定金額は同金員を控除した残額に減額され,その分だけ,弁護士費用も減額されるべきである」と反論されることがあります。
*訴訟においては,認容額の10%程度を事故と相当因果関係のある損害として,加害者が負担します。
上記反論が認められる場合には,被害者はまず自賠責に請求すべきということになりますが,被害者にはその義務はないためおかしいのでは,
ということになります。
裁判例も以下の通り否定しております。
平成7年8月31日山口地裁
「被害者請求は煩雑な手続きを要するし,原告に被害者請求をする義務も存在しない。さらに,被害者請求と自賠法第15条に基づく被保険者の
保険金請求とでは,後者が基本となること,保険会社が原告に対して提示した損害額に納得できずに訴訟を提起した経緯等を考慮すれば,弁護士費用については,
認容額全額に関して相当因果関係が認められる。」
また,
平成26年12月19日さいたま地方裁判所
自賠責の被害者請求は、被害者救済のために設けられた制度であって、その行使が義務づけられるものではないから、これを利用しないことを
不利益に扱うべきではないとして、その主張が認められなかった事例。
以 上