自賠責基準と訴訟提起①
2017/05/05
自賠責保険会社が交通事故被害者に保険金を支払う場合,自賠責基準を使って支払います(自賠法16条の3第1項)。
しかし,例えば,死亡事案について,保険金の限度額3000万円と定められていますが,高齢者が亡くなった場合には逸失利益が少ないのが一般であるため,
自賠責基準で保険金額を計算した場合,上記限度額まで届かないことがあります。 裁判基準(赤い本の基準)で計算した賠償額と比較して,
自賠責から払われる保険金額に不満があって交渉しても,自賠責保険会社は基準以上の額は支払いません。
ここで遺族の対応としては,①任意保険会社に請求する ②加害者本人に請求することが考えられます。
しかし,加害者が任意保険に加入しておらず,かつ,資力が不十分である場合には,上記方法は意味が有りません。
そのような場合,被害者救済の方法は,自賠責保険会社相手に訴え提起することです。
最高裁判決(平成18年3月30日)は
「自動車損害賠償保障法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を請求する訴訟において,裁判所は,
同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることができる。」
と判断しました。
以 上